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遵守

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インターネットが発達しほとんどの人がSNSを使う現代。情報はすぐに広がりそしてすぐに消えていく。人の記憶にも残らないままに。情報・映像の世界で働く人にとって今この瞬間の視聴率がすべてであることは周知の事実だが、あまりにも数字にとらわれすぎて、昨今間違ったものをいかにも良いもののように伝えているふしがある。私は書を学び書を書くことに喜びを見出し、それを生業にしている書家であるわけだが、最近書道家と紹介されてTVに出ている方、またテレビドラマのタイトル、通称「題字」を書いている方の中に全くと言っていいほど未熟で、何も勉強習得しないままに誰かに担ぎ出されたような〝通称書道家”が氾濫しているようである。中には自分で売り込む人も少なくないらしい。歴史に残ることを熟慮せず、話題性だけを求めたために起こるまさに弊害である。歴史に残る黒澤明監督の映画の題字の多くはあの金子鷗亭、今井凌雪ら日本を代表する大書家が揮毫した。人にへつらわない堂々とした文字には風格と気品が漂う。また、二・二六事件の際、九段・軍人会館に置かれた「戒厳司令部」の文字には中国北魏時代の匂いがぷんぷんしている。誰が揮毫したかはわからずとも当時の有様(空気)が伝わってくる素晴らしい書である。知らないとは何とも恐ろしい。そして知らないことで罪を犯してしまうのである。少なからず私は温故知新を遵守していく覚悟を新たにした。

最近ではピンク色した雛人形が流行っているというが、私はやはり古典雛の顔は美しいと思う。さて、あなたのところは京雛ですか、関東雛ですか。写真2は2007年に許可を得て撮影した小城鍋島家伝来の古今雛。この髪飾りは昨秋あの京都大徳寺三玄院大眞和尚に教えていただいた瓔珞の一種か。