記事一覧

迷い橋

ファイル 17-1.jpg

羊毛の用筆法に逆筆による表裏の展開が上げられるが、これがまた難解である。私も最初の頃は力任せに筆を紙に擦り付けるようにしていた。この使い方では確かに筆は開くがそこから生まれる線は荒れてしまう。しかも筆の根元に異常な負荷がかかり筆を悪くしてしまう。かといって筆の腰だけで引くと線は浮いてしまう。その微妙な力加減がなかなか難しいのである。羊毛筆の奥深さがそこにある。先日、生徒の手をとって稽古をしていると「線の強さは力だけではないのですね」と言われた。私の筆使いは「まるでイチローみたいだ」「いや、横峰さくらだ」との話になった。それは無駄な力をいれずに飛ばす彼らと同じというのである。一緒にされてうれしいやら、恥ずかしいやらであったのだが・・うまいことを言うなと感心した。微妙なコントロールを必要とする羊毛の筆法を習得するにはそれなりの年月がかかるのだが、迷っている時がまた一番楽しい時でもある。使わずしてカビが生じてしまったレンズにならぬようご注意願いたい。そういえば最近あまり使っていない筆もレンズも結構あることに気付いた。せっせと使うことにしよう。この橋は道に迷って渡ってしまった通称おばけ橋。(オレゴン州ポートランド近郊にて)