人それぞれに個性があるように文字にもさまざまな顔があり表情がある。古典を(特に手紙など)見てみるに同じ書き手であっても辛い内容のものとうれしいものとでは同じ文字でも表情が違っている。ただ、辛い内容の厳しい文字がうれしい可憐な文字に劣るわけでは無く、かえってそうした文字が人に感銘を与える。悲しみ、苦しみを素直にまっすぐに表現された内容にくわえて、隠しきれない書き手の技量がその影響力を倍増する。自己の左遷の辞令を自書した「建中告身帖」、抗議文の「争座位稿」、子を失った兄に送った「祭姪稿」などなど。これらは全て中唐の顔眞卿によるものだが筆者の気持ちがよく現れていて何度見ても飽きることが無い。傑作というのはそういう中で生まれることが多いのか。厳しい日常を経験することが良い作品に結びつくのであれば、まだまだ・・・































